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厚生年金の記録改ざん問題で、社会保険庁が、改ざんの疑いが濃く、既に年金を受給している2万2000人を対象に確認調査する戸別訪問を始めた。
改ざんは、経営難から保険料を滞納した会社と徴収率を上げたい社会保険事務所が結託したケースが多いとされる。そんなことで老後の年金が本来より減らされているなら、とんでもないことだ。
調査は迅速かつ丁寧に進め、速やかな被害者救済に全力を挙げてもらいたい。
それにしても、改ざん問題の闇は深まるばかりだ。社保庁が初めて職員の改ざんを認めた9月初旬には1件だった。それが10日もたたずに、疑いの濃い記録が6万9000件判明し、今月初めには改ざんの可能性がある記録は、延べ143万9000件に上ることが明らかになった。
なぜこうなったのか。社保庁は1件を認めた後、1億5000万件ある厚生年金の全オンライン記録について、改ざんが疑われる3つの条件を基に検索した。
その結果、①厚生年金の算定基礎となる標準報酬月額が5等級以上引き下げられている記録75万件②6カ月以上さかのぼって引き下げられている記録53万3000件③引き下げと同日か翌日に厚生年金からの脱退処理が行われている記録15万6000件-が見つかった。
6万9000件は3条件すべてに該当し、最も改ざんの疑いが濃い記録として公表した。うち2万2000件が65歳以上の受給者の記録だった。延べ件数は3条件に1つでも当てはまった合計数だ。
最初に各件数を公表しなかったのは、正しく訂正された記録も含まれるからだという。しかし、数字を小さく見せようと小出しにした印象はぬぐえない。
調査のやり方にも疑問がある。総務省の年金記録確認第三者委員会が改ざんを正式に認定した事例では、オンライン化した1986年以前の記録が4割あり、年金の加入期間を短くする偽装脱退も7割強に上る。3条件の枠外でも改ざんの事例は多数判明している。
しかし、これらのケースは調査の対象外とされ、手付かずのままだ。こんなことで国民が納得するはずもない。
舛添要一厚生労働相が語る「積もりに積もった不祥事の山」を片付けるには、疑わしい記録はすべて洗い出し、全容を明らかにすべきだ。そのうえで被害が確認できれば回復を急がねばならない。
厚労相は直属チームで組織的関与の解明を始めた。社保庁幹部や関係者の責任追及と厳しい処分は言うに及ばない。
今回の訪問調査にも注文がある。給与明細や通帳、家計簿などの証拠がなければ救済は難航する恐れがあるという。だが、証拠を持っている人は多くはなかろう。当時の勤務先や同僚、社会保険事務所の職員などにつぶさに当たり、証拠や証言を集める努力をしてもらいたい。
すべての困難を解決し、1人残らず救済することが政府の責任である。
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